2008/12/23

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「なまえペン」は油性マーカーとして有名ですね。小学生の時に、物に名前を書くときに使った人も多いかと思います。僕もよく使いました。プロジェクトXよりは感動できない書き方で、「なまえペン」発明秘話に即してアイデア術を説明します。

「なまえペン」の開発者は、このペンの「ペン先」の開発で悩んでいた。いままで彼が作った試作品のペン先では、インクが垂れてしまったりして使い物にならなかったのである。彼は以下の課題をクリアするペン先をつくろうとしていた。

課題
① ペンの中にインクを内蔵してある
② それがペン先に染み込む
③ ペン先から垂れたり洩れたりしない
④ 紙に接したときだけインクがでる

このような条件を満たすようなペン先を求めて、開発者は試行錯誤を繰り返したが、なかなか成功をしなかった。そのような実験の日を送る中で、彼は実験室をはなれていた。彼はそんなときでも理想のペン先の素材について考えていたのだが、ふと「フランスパン」に目が行った。彼はこれをみた瞬間に閃いた。「外は硬く、中は柔らかくて無数の穴があいている」というフランスパンの特徴を持った素材にしてみたらうまくいくのではないか? 彼は、ここからヒントを得て実験を続け、ついにこの特徴を兼ね備えたペン先で、条件を満たす完成品を仕上げたのである。


このエピソードには、個人の頭の中でアイデアが閃き、練られていく過程が分かりやすい形で現れています。この「なまえペン」が発明されるに至った過程を整理してみます。

課題の特定:「特定の条件をクリアするペン先を発明する」

試行錯誤:開発の毎日。失敗の連続。

「現場」を離れる。その時でも課題について考えをめぐらせている←ここが大切

ふとしたきっかけに出会ってアイデアを得る:「フランスパン」というペンとは関係のないものを見て閃く

考えが深化する:「フランスパンの特徴を持った素材を使えばいいのでは?」

少し大げさに言うと、僕が「高校生ゼミ」のアイデアを閃いて、そのアイデアを深化させていったのも、大体同じような過程を辿っています。

課題の特定:「越境する想像力という場を用いて、マンガシンポジウムを超える企画をやりたい」

試行錯誤:自分で考えたり、会議の場で考えたりする。しかしこれといったアイデアは浮かばない。だいたい大学にいるので、大学構内が、それも図書館で考えていることが多かった。

「現場」を離れる。:僕にとっての「現場」とは大学構内である。そこから離れた場所とは、僕の場合、電車の中であった。電車の中でも僕は企画のアイデアを良く考えています。←ここが大切!

ふとしたきっかけでアイデアを得る:図書館だとみんなが静かで「ひとり」に縛られる。電車の中では大勢の人間がいる→企画が大学生対象である必要はない! また、企画が講演会を中心としたものである必要もない! 高校生を対象にしたらどうか?

考えが深化する:高校生対象、というアイデアをもとに、最終的に「高校生を対象としたゼミ」という具体的アイデアに頭の中で練っていく

いままで、実例をもとに説明してきましたが、大切なのは、
①課題が特定されている
②その課題についてずっと考えている
③「現場」を離れる。現場を離れていてもずっと考えている
④ふと答えが閃く
というパターンです。実は、このパターンはみなさんご存知の歴史的大発見にもかなり当てはまっている発想パターンです。典型的な例は、アルキメデスの法則です。

課題:王冠を壊さずして体積を測る

アルキメデス、考え続ける。

「現場」を離れる:アルキメデス、風呂に入る。湯船からお湯が溢れる。

「ユリイカ(分かった)!」=湯船から溢れたお湯の体積を測ればいいんだ!

雑誌「ユリイカ」の名前の元ネタはここなんですね~。というトリビアはさておき、かのアルキメデスの法則もこの通りですね。あとは、ニュートンの万有引力の法則なんかもこれに当てはまると言えるでしょう。くどいほど発想のパターンについて述べてきました。これは一度経験するとかなり気持ちいいパターンです。そのために、リーダーにはぜひ、「課題を特定」の上、いつでもどこでも「考え続けて」ほしいです。

※この項は、野口悠紀雄『「超」発想法』を参考にしています。この本でも、「思いがけないところで思いつく」ということを強調していますが、僕はもっと具体的な言葉に変えて、「現場」を離れるという表現を用います。この本でも示唆されていますが、具体的に、考える場所=空間を変えてしまうことが僕は発想を閃く条件だと思っています。

※なお、なまえペンのエピソードの出典は、うろ覚えなのですが日本テレビ「未来創造堂」というテレビ番組だったと思います。

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